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■ SNSと心の疲れ ■
2014.12.27
 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)は、友人・知人間のコミュニケーションを円滑にする場を提供したり、趣味や嗜好などを通じて友人から友人へと新たな人間関係を構築する場を提供し、人と人とのつながりを促進するコミュニティ型のWebサイトのサービスで2003年頃アメリカで誕生しました。パソコンに加えてスマートフォンの普及に伴い、フェイスブック・ツイッター・ラインなどのSNSを利用する人は増え続けています。そうした中で、人間関係を広げていく目的のSNSもそれを利用することでストレスに見舞われることも増えているのです。
 総務省が平成25年度に小学校中学年から社会人までの2609名を対象に実施した「青少年のインターネット利用と依存傾向に関する調査」によると、パソコンやスマートフォンで「書き込みをする」「見るだけ」の利用者を合わせると63.7%の人が利用していることが明らかになりました。しかし利用者のうち56.9%の人がSNSの利用による負担を感じるという結果がでています。SNSでどうしてこれほどの負担を感じるのでしょう。
 あるSNSでは、自分の日々の生活を写真で紹介すると、それを見たフォロワーがコメントを残したり「イイネ」というサインを送ったりします。コメントや「イイネ」をみて「友達に見てもらえた!」「友達の共感を得た!」という喜びに酔いしれて、この交流にのめり込んでしまうのです。この酔いしれる快感が『麻薬の快感情』という感情なのです(参照コラム:心の疲れ)。逆に自分のことを「褒めてくれない・分かってくれない」などの思いが生じると、「なぜ共感してくれないのか」「何かまずいことでも書いたのだろうか」と不満や不安といった不快な感情が湧いてきてストレスになるのです。「友達にもっと共感して欲しい」という思いで書き込みを続けると、知らず知らずのうちに心の負担となっていきます。この麻薬の快感情のもつ麻薬性がSNSから手を引くことを難しくさせ、さらにストレスが募っていくことになるのです。これがSNSで疲れを感じる仕組みです。
 SNSの利用も麻薬の快感情や不快な感情で交流すると、称讃・非難・誹謗・中傷などで双方がストレスを感じて人間関係を破壊していきます。一方、快感情によるリラックスした状態でなされれば、SNSが情報交換の場となり知識を豊かにすると同時に人間関係の幅を広げることができます。このように利用する人の感情によってSNSを通しての人間関係の様相が分かれていくのです。

(参照:平成25年度総務省『青少年のインターネット利用と依存傾向に関する調査』)
(森 正博)
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