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○心の疲れ
2014.07.11
 一般に医学的には何らかの力による外的な刺激をストレッサーと呼び、それによって生じる生体内の歪みをストレスと呼ばれます。ストレスには工学では金属疲労という用語があるように疲労という性質があります。私たちのストレスには肉体的なものと精神的なものがあります。わが国では思いわずらい心配するなどの心の疲れを心労と言います。精神的なストレスを心労ととらえて差し支えありません。
 心の疲れは何によるのでしょうか。心の働きには大きく分けると物事を考える知性と感情を司どる感性があります。そのなかで心労となるのは疲労という性質をもつ感情なのです。その感情には疲れを伴わないものと疲れを伴うものの二種類があります。疲れを伴わない感情には歓び、楽しみ、寛ぎ、安らぎなどのリラックスできる快感情があります。一方、疲れを伴いストレスになる感情には不安・焦り・不満・怒りなどの不快な感情と他人に褒められたときに生じやすい浮かれた気分・上機嫌などの麻薬の快感情があります。麻薬の快感情と呼ぶのは、いったんこの感情を味わうと、その気分が忘れられなくなり、「自分のことを褒めてほしい・認めて欲しい・分かって欲しい」「自分の思うようにして欲しい」などと、まるで麻薬中毒患者が麻薬を求めるような思いが頭から離れなくなることに似ているからです。これらの不快な感情や麻薬の快感情が長く続くと疲労が蓄積するのです。
(森 正博)
心の疲れ
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