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子供の心を壊す親心
2014.08.08
 親の集まりや教育相談などの場で、「うちの子は勉強しないので困っているのです」とか「ちっとも言うことを聞かないのでどうしたらいいのでしょうか?」などという話をよく耳にします。この発言は、子供の将来を心配したり、心配の原因になる子供の行動に腹を立てることによって生じます。親の気持ちには子供への愛情はあっても、同時に子供に対する不安や不満が混在すると、不安や不満などのストレスを愛情だと思い込んでしまいがちになります。これをストレスと愛情の錯覚と言います。一般にこの錯覚が生じると親はこれから抜けだすことが非常に困難になります。
 親がストレスを感じながら子供に接すると、つい「親の言うことを聞きなさい」と命令口調になったり、「○○さんは良い学校に合格した」と他人と比較しながら勉強を強制したり、「女の子(男の子)だから~しなさい」と知らず知らずのうちに性差別をしたり、「そんなことしていたら人に笑われるよ」と世間体でものを考えるクセづけをしたりするようになるのです。このように親の指示で育つと、子供は他人の考えでものを考えるようになり自分の自然な気持ちで考えることができなくなるのです。このようにして子供に良かれと思う親心が、知らず知らずのうちに子供の考える能力を奪い取ってしまい、心を壊していくのです。
 その結果、子供の心に生じたひずみが人間関係での障害をもたらし、心身症・ノイローゼ・精神障害などの病気・いじめ・不登校・家庭内暴力・フリーター・ニート・引きこもり、さらには非行・犯罪に至り子供の健康な社会生活を妨げる遠因にもなりかねないのです。
(森 正博)
子供の心を壊す親心
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