以前、サラリーマンのAさんとBさんの出勤場面でストレスの発生についてみました(参照:
ストレスの発生)。今回はそのときの両者の感情の動きと環境との関係を調べます。電車に乗り遅れそうな状況ではAさんは不安やあせりでイライラしながら、Bさんはリラックスしてそれぞれホームまで走りました。この朝たまたま電車が何かの都合で遅れてきたと想定すると、この二人はどのような感情の動きをするか想像してみます。Aさんは電車に間に合うのでイライラせずにホームまで歩き、Bさんもリラックスしてホームまで歩くことが予想されます。
Aさんがイライラするかしないかは電車が来ているか来ていないかによって決まっています。一方Bさんは電車がきているかいないかに関わらずリラックスしているのです。Aさんの感情の動きはAさんの置かれている環境に左右されています。一方、Bさんの感情の動きは環境に左右されていません。Aさんの感情の動きを環境に依存した感情の反応(依存的情動反応)と呼び、Bさんは環境の変化に連動することなく感情の自己管理ができていることから環境から自律した感情の反応(自律的情動反応)と呼びます。
環境に依存的な反応は環境次第でストレスが生じるかどうか決まるので精神的な不安定要素が多いのです。環境から自律的な反応は、環境の如何に関わらずリラックスした状態を保てるので、精神的に安定した状態を維持することができます。感情の動きには誰でも両方の反応をもっています。依存的な反応が多ければ精神的疲労をもたらしやすく、自律的な反応が多ければ精神的に疲れにくいという現象を観察することができるのです。
(森 正博)