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○ストレス解消について
2014.09.19
 一般にストレス解消法として、規則正しい生活をする・趣味をもつ・スポーツに親しむ・親しい友人をもつことなどがよくアドバイスされます。
 規則正しい生活は身体や心の健康のためには大切なことです。ただ、規則正しい生活をしたくても、身体の不調があったり生活環境によっては思うように睡眠がとれないときがあります。そのときに、「規則正しい生活しないといけない!」と強く思うようなことがあると、逆にそれがストレスとなってしまい、その結果余計に眠れなくなって生活リズムを壊すことも起こりうるのです。
 趣味についても、たとえば絵を書くことを楽しむ人が、展覧会の締切日に追われたり、仲間へのライバル意識があったりすると趣味そのものがストレスの原因になったりします。
 スポーツをすると身体の快い疲労感と共に気分がリフレッシュされることはあります。ただその場で、仲間と競い合ったり、勝敗へのこだわりがあると、それがストレスになります。その結果、スポーツをすることでストレスを強める場合もあるのです。
 親しい友人に悩みの相談をする場合も、友人からのアドバイス通りの行動がとれないと、そのアドバイスが重荷になったり、また話の中で友人に対して劣等感や嫉妬を感じると、それが新たなストレスになります。リラックスしたいがための友人との会話がストレスを増やす結果にもなりえます。
 規則正しい生活をするには「規則正しい生活をしないといけない」という囚われから解放されることが肝要となります。趣味もライバル意識のないゆったりした気分で取り組むと心が豊になるのです。スポーツを楽しむにも勝敗にとらわれず没頭できる心境が必要といえます。友人との話も、相手の発言や行動に振り回されずリラックスした状態が、その会話をより楽しいものにします。
 このように、ストレスを抱えたままのいろいろな試みが、ストレス解消どころか返ってストレスを強めることにもなりうるのです。そもそもストレスが多い状態では、いろいろなことに取り組むこと自体が困難です。ある程度ストレスから解放された状態でなければ、いずれのことも楽しむことはできません。根本的なストレス解消法はどうすればいいのかという問題が課題として残されているのです。
(森 正博)
空の巣症候群
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