ロゴ

■ 子供をほめる ■
2014.10.17
 20世紀後半から盛んに「子供はほめて育てましょう」と云われるようになってきました。確かにほめられることでやる気が出て学力が伸びることがありますが、ほめられて育ったいわゆる優等生が高校や大学に入った途端に勉強への意欲を失ってしまうことが少なからずみられるのです。また社会に出ても責務が果たせない状況に陥ると、ストレスで病気になりやすい傾向も認められます。学校の勉強での成績の良さが必ずしも健康に繋がるわけでないことを示しています。
 私たちは、自然にいろいろなものに興味を持ちます。そして、そのことについて知識を得たり、その仕組みが分かったり、さらには新しい世界を発見することに歓びを感じます。このような心の営みが、知性を豊かなものにしていきます。ところが親や教師などの大人が子供をほめると子供に勉強への意欲をおこさせることがあっても、同時に「もっと勉強しなさい」「大人の言うとおりにしなさい」という暗黙の指示を子供に与えることになります。またほめるという肯定する言葉の裏には批判という否定する言葉が潜んでいます。ほめられることを目指して努力しても、大人たちの期待通りの結果が出ないと「あなたはダメな子」というレッテルを貼られることになります。ほめられることを目的としたやる気の裏には、批判されることへの不安というストレスを伴うので、徐々に疲れがたまりついには意欲を失って勉強を続けることが困難になることが多くみられます。一方、新しいことを知ったり発見することを子供と共に歓ぶ親に見守られていると、子供はストレスを伴わないので意欲の低下をもたらすことなく楽しく勉強を続けることができるのです。
 このように大人の関わり方が、子供がものごとに興味を持ち楽しく勉強に取り組める環境づくりに影響を与えるのです。
(森 正博)
ストレスの原因
特定商取引に関する法律に基づく表示 © 株式会社KANSEI
株式会社KANSEIは森心身医学研究所の委託機関です