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○ストレスの発生
2015.6.9
 ストレスの生じ方を知るために、二人のサラリーマンの出勤場面での心の状態を観察します。ある朝、駅まで利用しているバスが交通渋滞のため駅に着くのが遅れ、いつも乗っている電車が発車寸前の状態です。Aさんは、「遅れたら大変だ!」と、不安やあせりでイライラしながらホームまで走ります。Bさんは「全力で走って乗れなかったら次の電車を待つしかない」と思い冷静な気持ちで走っています。改札口からホームまで走るので両者とも肉体的なストレスはかかっています。しかし精神的なストレスはAさんには生じていますが、Bさんには生じていないのです。
 この精神的なストレスの発生での違いはどこにあるのかをを調べます。まず二人は電車が発車間際であるという同じ状況下にあり、「会社に間に合う方がよい」という両者の考えにも違いはありません。つぎにこの置かれている状況への対応の仕方をみると、Aさんは「会社に遅刻するのは許されない」と遅刻することを拒んでいるのに対して、Bさんは「努力した結果、遅刻になるのはやむを得ない」と遅刻することを受け入れています。二人の「会社に間に合う方がよい」という考えに反する状況を拒むか受け入れるかに差があるのです。これは自分を取り巻く環境に対する拒絶性と受容性にストレスが発生するかしないかの原因になっていることを示しています。
 このようにその人が置かれている環境やものの考え方ではなく、その人の考えに反する状況への対応の仕方でストレスで苦しむかどうかに分れるのです。この対応の仕方そのものは自分の心の内的な問題であり、自分自身でストレスを処理しリラックスした精神生活を送ることが可能であることをものがたっています。
(森 正博)
ストレスの発生
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