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■ 家庭における子供の居場所 ■
2015.1.23
 ここで言う「子供の居場所」とは、子供部屋という居住空間のことではなくゆっくりと寛げる場所を意味します。子供が何か困ったことで助けを求めたとき親がそれに対応しなかったり、逆に親が子供の行動に細々と指示を出したり、あるいは両親のケンカなどがあると、子供は情緒不安定となり心の安らぐ場が無くなってしまいます。
 たとえば両親のケンカの場合、子供のためを思う考えの行き違いがケンカの原因となることが多いのですが、多くの人が子供時代を振り返ったとき両親の意見の正否ではなく両親の険しい表情・荒げた語調・暴力や破壊行為などに心を痛めつけられたと語ります。両親のイライラした不快な感情が子供を情緒不安定にし家庭での居場所を奪うことをものがたっています。反対に、両親が子供の養育について穏やかに話ができる環境であれば、子供には家庭が居心地のよい場所となり、リラックスして過ごすことができます。この居心地のよさが子供の居場所となります。両親の感情が子供に家庭での居場所を与えるか奪うかに分かれるのです。
 一般に家庭だけでなく学校や友達仲間などでも、居場所がなければ人間関係を築くことが困難になります。子供に居場所がなければ、不登校、非行、犯罪、引きこもりだけでなくストレスに関連した病気になったり、場合によっては自殺に至ることもありうるのです。
 現実的には不快な感情のない人はいません。両親の不快な感情と快感情の程度が問題となるのです。不快な感情の多い家庭では子供の心にキズを負わせることになります。快感情のより多い家庭であれば子供の心は豊かに育っていきます。子供のことを思う親心もケンカになれば皮肉なことに子供の居場所を奪うことになるのです。
 より快感情の多い家庭をつくることが親の課題となります。
(森 正博)
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